その不調は春バテ?季節の変わり目に栄養素の力を
◇春はストレスを受ける要因が増えます
気温も春を感じる日が増えてきましたが、寒春を思わせる日もあり、3月の始めは三寒四温です。
三寒四温は、3日間寒い日が続いた後には、4日間暖かい日が続くという意味です。元々は、冬に使う言葉ですが、天気予報を見ていると、正に三寒四温。低気圧と高気圧が交互に日本付近を通過し、寒暖差が激しくなっています。
本格的な春に向かう前の季節の変わり目は、何かとストレスを受ける時期です。様々な刺激がストレスを受ける要因になります。
気候、気温の変化などの天気によるもの、引っ越し、学校、職場などの環境の変化、人間関係、送別会や歓迎会での暴飲・暴食などの刺激(ストレッサー)がストレスにつながります。
そしてストレスが続いたり、強い刺激を受けると体に何らかの影響が出てきます。
例えば、病気ではないのに疲れやすい、いらいらする、気力がなくなるなど、体調が優れないと感じているのなら、ストレスを受けているかも知れません。最近は、春のストレスに伴う不調を「春バテ」と呼ぶこともあるようです。
◇ストレスと食生活
ストレスと肥満・痩せ
私たちはストレスを抱えているとき、どのような食生活となり、結果どうなるのでしょう?
まず私たちが抱えるストレスには大きく分けて、急性のストレスと慢性のストレスがあります。そしてストレスに関わる神経は自律神経です。自律神経には交感神経と副交感神経があります。交感神経は私たちの身体を戦闘状態にします。副交感神経は身体や心をリラックスさせます。
さて重要な会議でプレゼンテーション(プレゼン)をするとき、どうなりますか?
「心臓はドキドキ、顔は紅潮、手に汗握る。のどはカラカラ、胃がキュッとなる」のは交感神経のなせる技です。
このような戦闘状態では、食欲はなくなり、のんびりと物を食べることは考えられませんね。プレゼンがすんだ後は、げっそりと痩せたように感じるでしょう。これが急性のストレスを抱え込んだときの私たちです。でもしばらくすると、副交感神経の働きによってホッとし、無性にお腹が空いてきますね。このようなバランスにより、ストレスに適切に対応しているのです。
では例えば職場の上司にいつも怒られてばかりで、ビクビクしながら仕事をしている場合はどうなるでしょうか?慢性のストレスですね。身も心も次のストレス(上司の怒り)に備えて、警戒体制を取り続けます。脳からホルモン系へ命令が出されてストレスホルモンが放出され、戦いに備えて脂肪が貯め込まれます。戦国時代の武士であればこれをエネルギーとして敵と戦うことになるのですが、現代のように身体を動かすことのない戦いにおいては、この有り余るエネルギーは腹回りにつくことになるのです。さらに休憩時間や職場を離れた後に「甘い物や脂っこい物を食べて」または「(酒を)飲んで」ストレス解消しますね。
このような食生活が肥満への道になります。ただ、ストレスが加わると「より食べてしまい、太る人」と「食べられなくなり、痩せる人」に分かれるようです。
(厚生労働省 e-ヘルスネット ストレスと食生活より)
おいしいもの、好きなものを食べることは、ストレス軽減の手段でありますが、これがやけ食い、無茶食いになってしまうと逆効果になります。特にダイエット中は我慢することがストレスになり、逆効果になってしまうこともあります。
◇ストレスに関連しているホルモン
脳の中には3大神経伝達物質というものがあります。この3つの神経伝達物質が互いにバランスを取り合ってします。逆に言えば、ストレス下に置かれると、互いのバランスが崩れている状態だと言われています。
「3大神経伝達物質」
①ド―パミン
・快く感じる、意欲が出るなど活動に影響を与えているホルモンです。脳内において活性化的な役割を果たしています。
・必須アミノ酸のフェニルアラニンとアミノ酸のチロシンから、体内で酵素の働きによって合成されます。
②ノルアドレナリン
・交感神経の情報伝達の役割をしているホルモンです。
・ノルアドレナリンは、情報伝達物質として、交感神経の活動を高めます。その結果、心拍数や血圧が上昇し、体を活動に合った状態にします。緊張や集中力をもたらします。
・アミノ酸のチロシンからつくり出されます。
③セロトニン
・脳内の神経伝達物質のひとつで、ド―パミン・ノルアドレナリンを制御し、精神を安定させてくれるホルモンです。
・必須アミノ酸のひとつである、トリプトファンから生合成されます。
・更年期障害の発生とセロトニンの低下に関わりがあることが知られています。
・睡眠ホルモンと言われているメラトニンは、セロトニンからつくり出されます。
◇おなかから元気にストレス対策
通常の検査では原因が認められないにも関わらず、慢性的にお腹の不調があったり、便通の異常を感じることがあります。ストレスを感じると、腸に伝わり過敏になることによって、引き起こされると考えられています。
食生活の乱れや、ストレスを受けると、腸の中の善玉菌が減少し悪玉菌が増殖。腸内環境が悪化することが知られています。腸の中では、善玉菌と悪玉菌。どちらにも所属しない日和見菌が棲みついています。
日和見菌は、腸内において優位な方に作用します。例えば、悪玉菌が優勢な時は、悪の味方をする、ある意味優柔不断な菌です。つまり、善玉菌を優位にすることで、日和見菌を味方にしておくことが大切です。
善玉菌を優位にするためには、「善玉菌を入れる+増やす」ことです。
乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌は、ヨーグルトや発酵食品に含まれています。増やすためには、善玉菌のエサとなる食物繊維やオリゴ糖などを一緒に摂ることで効果が期待できます。
◇ストレスを感じた時に摂りたい栄養素
ストレスを感じている時は、多くの栄養素が消耗されています。
ストレスにより「食べられなくなる方」は食事量が減ることで更に栄養不足に。「より食べてしまう方」は栄養素の偏りが見受けられます。栄養素は消耗する前に補給しておくことが大切です。
「ビタミンB群」
・ビタミンB1は精神のビタミンと言われています。健康な神経と精神状態に関わっています。
・ビタミンB2は、ストレスで消耗されます。
・パントテン酸は、ストレスに立ち向かう力をつけるために必要とされます。
「ビタミンC」
ストレス状況下では早く消耗されます
「マグネシウム」
抗ストレスのミネラルです。神経と筋肉が健康に働くために必要です。
「トリプトファン」
ビタミンB6、ナイアシン、マグネシウムと一緒に、精神を安定させる働きをしています。3大神経伝達物質のひとつであるセロトニンを合成します。
「ストレスを感じた時、疲れている時にオススメ!簡単に作れる納豆どんぶり」
青さと納豆を合わせた簡単どんぶりレシピです。
青さには、ビタミンCとマグネシウムが含まれています。青さに合わせたのは納豆。
納豆にはビタミンB群や必須アミノ酸のひとつであるトリプトファン、アミノ酸のチロシンなどが含まれています。ちなみに納豆を保存していると、表面が白っぽくなりますが、これはチロシンによるものです。
1人分につき、乾燥青さを約2g用意します。
水で約3分戻した後、水気をしっかり切り、納豆のたれで味付けをしておきます。
器に玄米ごはん(白米でも可)を盛り付け、味付けした青さをのせます。
中央に納豆をのせて、小口切りにしたねぎを飾ります。
◇植物の力でリラックスする
「緑茶のテアニン」
緑茶にはリラックス効果がある成分「テアニン」が含まれています。テアニンはアミノ酸の一種です。抹茶や玉露など高級茶に多く含まれている「旨味成分」ですが、これらのお茶にはカフェインが含まれているので、飲む時間帯に気を付けましょう。
「ラベンダーの香り」
不安や緊張を和らげる効果が期待されています。
「よもぎの香り」
春の和菓子「よもぎ団子」。昔から体に良いと言われている和ハーブです。
和菓子に使われる他、お灸やお茶などにも利用されています。よもぎの香り成分にはリラックス効果があるシネオールが含まれています。
「柑橘系の香り」
オレンジやレモンの香りには、不安やストレスを緩和する効果が期待されています。
※但し、香りは好みが分かれるものです。すべての方に好まれるわけではないので、ご注意ください。
外的刺激から受けるストレスは、個人差があります。毎日ストレスにさらされている生活は、直ぐに解消することは難しいですが、体の内側から、ストレス対策に役に立つ、食材や栄養素、植物成分などを取り入れることは、気軽に始められる方法です。「栄養をしっかり摂らないと」と考えると、それがまたストレスになることもあるので、負担なく毎日続けられるものを、是非選んでみてください。